明治館について

明治館は、1895(明治28)年にイギリス人ハンセルの設計により、平安女学院の教育施設として建設されました。わが国の近代建築史上きわめて価値の高い建築物であり、小さいながら風格をもった建物として評価されています。

建物の特徴は、アン王女様式とよばれる様式を採用していることです。この様式は、19世紀のイギリスで流行したもので、学校の校舎建築に好んで使われました。明治館は、当時のイギリスの学校建築の流行をいち早く取り入れた点でも大変貴重な建物とされています。また、建物の隅に特別の形をした煉瓦を使うなど、煉瓦造りの技術も極めて本格的なものです。

明治館は建設当時、「本学教場」と呼ばれ、教室、職員室、事務室など学院全体の主たる機能を担っていました。ここでの教育がはじまった一年後には、すぐさまその近代的教育が評判になり生徒数が増加しました。以来、平安女学院の建学の精神・歩みを示すシンボルとして、多くの人々の心のふるさととして存続しています。

明治館
名称 平安女学院明治館
竣工 1895(明治28)年
設計者 アレクサンダー.N.ハンセル
(英国王立建築家協会正会員資格を持つハンセルは、明治期に活躍した建築家)
構造 組積煉瓦造(イギリス積)2階建

アン王女様式

明治館の最大の見所はクイーン・アン・スタイル、つまりアン王女様式によってデザインされていることです。
この様式の特徴は、煉瓦を露出して、上げ下げ窓をつけ、屋根を色々なデザインでにぎやかに飾ることです。西洋建築は、基本的には石で作ることを理想とするので、煉瓦で造ってもその外側に石を貼って、石造りのように見せかけることが一般的なのですが、イギリスでは煉瓦をそのまま露出させるものも多く、この様式もその代表といえます。

明治館の屋根は、ダッチゲーブルというオランダ式の曲線を持った破風(屋根のきりづま切妻にある合掌形の装飾板)で飾られており、またデザイン的にも様々な工夫が凝らされています。

設立当初の明治館
設立当初の明治館
教員室、食堂、講堂、事務室