知性を広げ、望みを高くし、感受性を豊かにし、そして神を知らせる

この言葉は、大阪の川口居留地で米国聖公会宣教師として活躍していたクインビー司祭が、1875(明治8)年3月20日付で本国へ書き送った下記の手紙の中に見いだされ、米国聖公会ミッションの中心人物であったウイリアムズ主教による女学校設立の方針に沿って、その準備にとりかかっていた時に述べられたものです。この建学の精神は、本学院の教育の根底に流れていますキリスト教精神に基づいた教育理念=フィロソフィであり、その言葉の具体的な内容は以下の通りであります。

「知性を広げ」

学校という教育の場において、多くの知識を身につけ、自ら考える力を養う。自己の意見や考えを表現できる総合的な知性を育てるため、体力を養い、感性を磨き、表現力を豊かにして、何事も受け身の姿勢ではなく自主的・自発的な学びの場としてゆく。

「望みを高くし」

目的意識を持つ人とそうでない人では、努力や集中力に違いが生ずる。早い時期に、自身が進むべき目標を見出し、努力が実った時の達成感を味わう喜びを通じて人格を成長させてゆく。そして、目標や希望をより高く掲げ、人生の未来に常に希望を持ち続ける。

「感受性を豊かにし」

道端に咲く草花の美しさに感動し、悩める友の痛みを共有し、自身のことばかりでなく他人のことを思いやることができる。すなわち“すべてのものを愛する心”。小さな草花から地球レベルの環境問題まで、また身近な人間関係から世界の平和問題まで、柔軟かつ優しい心をもって周囲に接することができる豊かな心を育てる。

「そして神を知らせる」

キリスト教精神に則り、神に対する考え方や人間に対する見方を知る。それは人間の力をはるかに超えて働く神がすべてのものを創造し、存在させ、支えていることを認めていくということであり、私たち人間が、考えや行動において神のようになろうとする傲慢さに気づき、謙虚に神をおそれ、敬い真理を求めるということである。

クインビー司祭の手紙【英文和訳】

『女学校の創設、それは私たちの仕事の成功にとって、ますます必要なものと思われるようになってきたのですが、そのことがこの数ヵ月の間、私の思いをとらえ、そのために努力してまいりました。聡明で、可愛く、無邪気な少女達が私たちの手にゆだねられ、数ヵ年の間、その教育にあたることになりました。彼女達の知性を広げ、望みを高くし、感受性を豊かにし、身も心もそのすべてを受け入れて下さる神様を彼女たちに知らせるのに何という素晴らしい機会でしょう。』